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待望のレーシック 手術

たとえ民間の保険会社がドイシのように規制緩和されて医療保険市場への参入が許されたとしても、マネジドケア保険の引き受け体制の確立は容易ではないであろう。 理由は至ってシンプルである。

マネジドケア保険事業の主な要件は、リスクマネジメントのための特殊技能を有する様々な人材と様々なデータベースにあるといえるが、わが国の既存の医療保険者、あるいは将来の医療保険者候補たちである民間保険会社が各々にこれら主要件を短日時に揃えることの実現可能性を考えれば、答えは自ずから明らかである。 とくに第一の要件ともいえるマネジドケアのための人材の確保については、現在は皆無に等しいためこれから養成する必要があるが、現状では、その指導に当たれるものさえたいへん数少ないわが国が世界に誇る国民皆保険も、少子高齢化成熟社会を迎えて、今や問題が山積している。
とくに、社会保険と社会扶助の両方が混在していて、負担と給付のバランスが混乱している。 このような原理原則のところで混乱する国民皆保険システムについては、今一度、世を挙げての議論が必要ではなかというのも、国民皆保険の実現と維持は、何も国が丸抱えしなくても可能だからである。
たとえば、スイスのように医療保険携帯の義務化により、国民が公営ないしは民営のいずれかの医療保険に加入することでも国民皆保険は実現できるのである。 マネジドケア技術を短日時に揃えて、いまのわが国の医療保険制度改革に供することが簡単でないことは、もうご理解いただけたことと思う。
しかし、本節の初めのほうで詳しく説明したように今の医療保険制度改革のスケジュールに挙がっているものは、全てが患者に負担増を求めるものであって、改革が進めば進むほど患者側の反発が露わになるだけで、おおよそ根本的な解決策にはならないであろう。 一方、改革が遅れれば医療財政の破綻が露見して、社会が混乱するのは火を見るよりも明らかである。
そこで、差し迫る医療保険制度改革のスケジュールを考えて、マネジドケア技術を日本の社会環境の中に導入できる基盤を考えてみた。 勿論、マネジメントの発想からすれば、人口七〇〇万人の国と一億二五〇〇万人の国とでは、医療保険携帯義務化の制度経営の仕組みは同じではない。
すなわち、スケールメリットも異なれば、それをうち消すコスト・オブ・コンプレクスティも違ってくるからである。 しかし米国のHMOは人口二億五〇〇〇万人の国にあって、優に一億人を越える人々に医療保険携帯のサービス提供を行っている事実に注目すれば、日本の皆保険制度を維持するための仕組みにはいくつかの選択肢があることがわかる。
ならば、旧来の方式では財政に困難があるから加入者自己負担に転嫁することでその場凌ぎをするよりも、国民に国民皆保険を維持するか否かを問うと共に、皆保険制度経営の代替案についても議論する場を設けるべきであろう。 それが、わが国の場合にマネジドケアの利点部分を導入するための最初の基盤整備となるのではなかろうか。
上の国民皆保険の議論とリンクすると、今後の医療保険制度に必要な仕組みが見えてくる。 それでも、これまで通りの公営保険一本なのか、公私ミックスの保険システムかのどちらかを選ぶしかない。
そして、どちらの方向性が出ようとも、これまでの経緯からして、制度の効率的な経営が求められることは間違いがない。 そこで、医療の提供と保険の両方を同時に効率的に経営しようとする技術であるマネジドケアが、新しい医療保険制度の仕組みを整備するための参考となろう。
そのときには、従来のような営利法人の病院経営参入とか、民間保険会社の医療保険参入といった個別の対応で済まそうとするのではなく、新しい制度が円滑に成立できるような環境作りのための規制緩和が検討される必要があろう。 それが日本式HMO法の議論のもとである。

日本式HMO法では、法制化の当初から米国のHMO法の改正を参考にして、日本式HMOが医療サービスの提供とそのための医療費支払いとを適切にする組織や仕組みとなることを、目論むべきであろう。 それゆえ、どこにインセンティブを置くかが重要だが、その目論見がニュービジネスにつながり、また、民活、すなわち、民間からの投資を引き出すことになるものと思われる。
そのため、日本式HMO法の議論では、健保組合の自主経営のインセンティブや、医療機関と民間会社の民営医療保険の相互参入や、保険業務外注会社ASOや、保険加入者の医療管理情報処理専門会社など、といった広範なエントリー可能性を検討することとなろう。 わが国には、マネジドケア医療保険事業の要めである医療管理部門や医療保険算定部門のための人材がいない。
先に私の経験から述べた「当該の専門家」が不在の状況である。 このときに採れる手だてはそこでも説明したように「作る」しかない。
とくに前者の、医師を経営管理職に育てる仕組みが事実上まだ存在しないため、教育機関大学院でのMPH取得コースは不可欠である。 実際のところ、わが国の国民皆保険制度のもとで公営医療保険の医療管理に当たってきた医師としては、厚生省の医系技官がそれに該当するが、その数はいま現在でも総数で二五〇人ほどであり、肝心の保険局に詰めるものは二〇人にも満たない。
わずかこの人数で医療保険の上級管理を担ってきたことは賞嘆されるべきことであるが、同時に、少子超高齢化成熟社会の医療保険制度の運営体制としての限界も指摘されるであろう。 その意味ではマネジドケアのための人材の育成こそが医療制度改革の要めのひとつとも言える。
もしも、効率的にマネジドケアの人材を育てようとすれば、医師や看護婦など医療経験者たちを大学院のレベルで受け入れてトレーニングすることが良策であることは、米国の経験から知られるところである。 ところで、現在医師数の過剰を見越して大学医学部や医科大学の入学定員を削減する提案が繰り返されている。
その結果、これら教育機関の施設がだぶつくことや経営の先行きが心配されるが、そのための補償案は何ら示されていない。 そこで、議論の的となるマネジドケアの人材をそれらの余剰施設で育てることを提案したい。
具体的には、医学に限らず看護学も含めた医療系大学の卒業生たちを対象とした大学院医療経営学コースの設置とその関係の修士を養成する提案である。 基盤整備に関連して述べた日本式HMO法によってマネジ227第5章マネジドケアは日本の医療を変えられるかドケアの人材の職場を法制化することも、人材育成を果たせる鍵となることはいうまでもない。

ここで提案するマネジドケアの基盤整備は、しかしながら、中長期的な提案である。 実際のところ、マネジドケア人材育成のための大学院医療経営学コースを設立して、たとえば、MD、MPHの数が揃うのを待っていては、緊急の医療保険制度改革、また、そのために重要だと考えられている保険者機能強化にはとても間に合わないであろう。
公営民営を問わずわが国の人口相当の加入者数を持つマネジドケア医療保険事業を想定すると、医師のバックグラウンドを持つ医療経営管理職だけでもかなりまとまった数が必要となり、それら専門家を雇用する側の人件費は総額で優に年間一〇〇〇億円程度にはなろう。

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